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不登校で情報を探しておられる方がコチラのブログにきていただくこともあります。

そんな時によく検索されているのが『不登校 対応 親』という言葉です。

 

実際に私も、ネットで色々な情報を探しました。それでも、はっきりとわからなかった経験があります。

 

そんな経験から、私がお世話になったFHEの藤本先生からその手助けとなる記事を寄稿していただくことができました。

 

今回の記事は、藤本先生の記事を掲載させていただきます。

 

1. 不登校の中学生の特徴

 

 

中1ギャップという言葉が一般的にも知られるようになるほど、小学生から中学生に進級することで起きる環境の変化はとても大きいといえます。小学生は体を動かす遊びを通してコミュニケーションが取れます。しかし、中学生になると休み時間をイスに座って話す、ということで過ごしたりします。

 

純粋なコミュニケーション能力が必要とするシーンが多くなってきます。加えてスマホの普及率も上がりSNSなどを含めた複雑なコミュニケーション能力の必要性も増します。

 

また小学生の6年間という期間に比べて、中学生活は3年間という短い時間で、自己選択において自分の進路を選べるまでに成長してもらわないといけません。

 

欠席日数が伸びた場合、周りの生徒たちとの差が早く大きくなるということも中学生の不登校の問題です。

 

1.1. 初期不登校の中学生

不安定期ともいわれます。

 

体調不良などを訴えることが多くみられます。登校を促すと激しく抵抗して、病的に見える反応が見られることや、元気がなくなり危うく見えることもあります。

 

一口に不登校といってもその子どものバックグラウンドによって、表層に見られる反応をどう捉えるべきは異なります。

 

1.2. 中期不登校の中学生

膠着期ともいわれます。

 

不登校が軽いものでないと判断する必要がある時期です。子どもたちのストレス状況も各家庭、子どもの性格によって様々です。

 

よくある失敗は子どもへの対応を二転三転させてしまうケースです。

この問題は親側が子どもの不登校をどう捉えるのか、どのような方向に家族として進みたいのかが定まらないまま、日々子どもの様子を見て、親がその都度どのように感じたかによって対応を思いつくまま行っていることにあります。

 

しばらく子どもへの対応ではなくて、子どもの不登校状況をどう捉えて、親がどう対応するのかを夫婦で相談する時間をしっかりとることが大切です。

 

焦る気持ちもとてもよくわかります。こんなことが自分の家族に起こるなんてとショックを感じるでしょう。しかし、子どもに何をしたらいいのか、という前にご両親がどの方向に進みたいのかが定まらないまま不登校が長期化しているご両親も多くおられます。

 

まだ中期不登校の中学生をおもちのご両親は、方向性を決めるための情報を集めましょう。

 

1.3. 長期不登校の中学生

停滞期ともいわれます。

 

もう無理だと動く気力も失っているケースや将来は死ぬから好きなことをするといった自暴自棄になるケースも見られだします。

 

この時期になってくると家庭内対応で今まで状況を急激に変えようとする事故が起きることもあり得ますので専門機関に相談しましょう。

 

受容していくにしても、積極的アプローチを行うにも専門的な分析が必要になってくるでしょう。

 

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2. 不登校の中学生をもつ親の選択肢は二つ

 

 

単純な言い方をすると「待つ」のか「押す」のかです。「受容的アプローチ」と「積極的アプローチ」といわれるものです。

 

受容的アプローチを選択する理由としては

  • 現在の不安が強い子どもの状態を危険と判断して、ストレス回避できるようにしてあげるべきと考える
  • 学校システムに疑問をもったり、みんなと同じことができる必要性を感じなかったりするケース
  • 学校には行ってほしいけど無理だと感じるから
    などがあります。

 

積極的アプローチを選択する理由としては

現在の本人のストレスも心配だが将来がもっと心配なので

  • 本人がもつ将来の不安や不登校の自分肯定したくない子どもの気持ちを逆に動き出させるチャンスと捉える
  • 社会に出るためトレーニング期間として集団生活で学ぶことが多いと考える

などがあります。

 

復学などを考える場合は、不登校状態での本人の不安を動き出す動機にすることも可能です。また、学校教育や学校システムの重要性をどの程度感じるかなどで判断は変わるでしょう。みんなと同じことができることに価値を見出すか、みんなと同じことができる必要はないと考えるのかも判断の異なるところです。

 

 

3. 受容的アプローチ

 

受容的アプローチも大別すると二つあります。

 

一つ目は、本人に動くエネルギーが溜まったら自発的に動くはずという考え方です。「待つ」の最たるものでしょう。

二つ目は、学校を諦めるがそれ以外の場所には所属させたいと考えるスタンスです。

 

3.1. 受容的アプローチの選択

学校以外の居場所を探す場合の選択肢をあげておきましょう。

 

適応教室

元教員などがスタッフに含まれることが多く、地元の学校の事情を知っておられる方もおられる可能性があります。通所が出席に換算されることで受験に有利であることもあります。あくまでもゴールではなく経由地点、居場所づくりとしての意味合いかもしれません。

 

地域によって生徒数にばらつきがあり同学年が少ないことなどもあります。また、行かなければいけないところではなく、行きたければ受け入れていれてくれるスペースのため行かなくなることを想定しておく必要はあるでしょう。

 

 

フリースクール

学校法人ではない私立の塾のように学習スペースや、本人のやりたいことをやりたい時にできる環境を用意されています。

 

それぞれの団体で用意されている環境や教育法に大きな差があるためしっかりと事前に確認が必要です。団体によって、高校過程からは通信制高校に入学させ、そのフォローをフリースクールで行う(サポート校)ことができることもあります。

 

適応教室と同様に行かなくてはいけないところではなく、行きたければ行ってもよいスペースであるため行かなくなることも想定する必要もあります。

 

寮を完備している団体もありますが、年齢制限があり成人と同時に退所するルールであることもあるため事前確認が必要です。

 

 

オルタナティブスクール

Alternativeつまり代替のという意味で、非伝統的な教育といわれ、欧米の哲学的な思想が取り入れられています。画一的ではなく個人を尊重し主体的に学習や行事が展開するようにカリキュラムを組むようにされています。

 

フリースクールと同様に多くの場合無認可が多く、団体によって教育法や教育レベルが異なるため、事前によく調べておく必要があります。

 

少数ですが認可を受けた私立学校もあります。小学校から中学校まででしか対応していないことが多いので、ほとんどが高校からは一般校への進学をしなければなりません。

 

 

山村留学、海外留学

環境を変えるということが大きな目的になることもあります。家を出て集団での生活や家族以外の他人の暮らすことで変化が起きることを期待して選択されることもあります。

 

山村留学には土に触れることで精神的に落ち着きを取り戻すという考えで畑仕事などをメインに体験学習をすすめることがあります。

 

海外留学の場合は日本的な考え方から解放され、視野を広げることを目指していることがあります。文化的な違いなどを知ることで子どもが変わることが期待されます。

 

環境の変化が大きいこともありますので、自分の子どもが環境の変化に適応できるのかを事前に判断する必要があります。

 

家族療法的な変化は家庭自体に起こさないので、自宅へ戻ると子どもに起きた変化がなくなってしまうことがあります。

 

 

3.2. 受容的アプローチのメリット

受容的アプローチのメリットは子どもの現在の負担を最小限にできるメリットがあります。

 

学校へ行かなくていい、今のままでいいと肯定しますので、子どもの精神状態は落ち着きます。将来の子どもというよりも、今の子どもの状態が心配な時は刺激が少ないため安全な方法といえます。

 

3.3. 受容的アプローチのデメリット

「今のままでいい」と肯定してあげる場合は、数年という短いスパンではなくもっと長いスパンで見ていく親の強い気持ちが必要です。

 

一番よくないのは、「今のままでいい」と受け入れたはずなのに、何年も経って所属がなくなったときに、「もう待てない」と押す方向に方向転換してしまうことです。時間が経って元に戻る場所がなくなっているのに、押すことはとても危険です。

 

学校以外の選択肢をあげる場合は、学校は行かなくていいと示すことになりますので、学校へ戻る確率は下がるでしょう。

 

学校にも戻ってほしいけど、という気持ちでこの方向へ進んでしまうと親に悔いが残ってしまいますので、進める前に親の気持ちをきちんと整理しておく必要があります。

 

 

4.積極的アプローチ

 

 

子どもが学校へ行けないことをストレスに感じている場合、そのフラストレーションを動機に変えるチャンスがあります。

 

今の子どものストレスも心配ではあるが、時間が経ったときの状況のほうが、リスクが大きいと感じた場合や、子どもの力で学校生活が送れないようには見えない場合は積極的アプローチを選択しましょう。

 

4.1.家庭内のみで積極的アプローチを行う

家族会議を行い、現状のデメリットを伝えて前に進むメリットを伝えます。

 

学校へ進める方法としては、スモールステップと呼ばれる方法を進めてみましょう。ハードルの低いもの、放課後に学校のそばまで行く、次は放課後校門まで行く、その次は放課後に担任と会うなどのように小さな段階を少しずつ登らせていく方法です。

 

ステップを負担の少ないもの、できるものから設定して確実に進めるように考えましょう。

 

4.2.家庭内で、専門家の援助、指導を受けながら積極的アプローチを行う

システムズアプローチ、家族療法といわれる手法を応用する方法です。

 

家庭内対応により間接的に本人に影響を与える手法です。子ども自身の中に問題を抱えている場合や、性格傾向に起因する不登校症状の場合は根本的な改善に向けた対応といえます。

 

家庭教育の仕方を学ぶという意味合いもあります。漢方薬のように長く続けることが必要ではありますが、専門家の指導を受けながら行うため、状況にあわせて対応を変えることもできるので安心感はあるでしょう。

 

登校刺激などもタイミングを見計らってご家庭にあった対応の指導を受けます。

 

4.3.専門家に積極的アプローチを行ってもらう

ダイレクトアプローチと言われる手法です。

 

直接第三者が子ども自身に対応を行う手法です。本来は、カウンセリング技能やコーチング技能、もしくはその両方をもつ専門家が事前に計画書を作り、効果の高いアプローチを選択し行う手法を指します。

 

家庭教師などが家に入って本人に学習指導しながら登校を促せないか考える団体もあります。また最近では専門家ではなくアルバイトの学生が家庭教師として接触して登校促す団体も多くなっています。

 

家庭教師を介入させることで本人に変化を与える場合は目的が学習面での指導なのか、登校刺激を行うことが目的なの明確にしてから導入を考えましょう。

 

4.4.積極的アプローチのメリット

今まで子どもが築いてきた学校での関係性などを、時間の経過によって失われないように前に進められます。

 

不登校の子どもたちもストレスがありますが、他の兄弟姉妹にもストレスがかかります。学校で頑張っている兄弟姉妹を否定せずに家庭教育ができる点もメリットです。

 

4.5.積極的アプローチのデメリット

家庭内で積極的アプローチを行う場合は、まず家庭内で親から伝えるシステムを培ってきたかどうかが成功のカギになります。関係性ができていない場合は関係が悪化する危険があります。

 

家庭内対応を援助、指導受けながら積極的アプローチを行う場合は安全性が確保できる反面、今までの家庭内システムを崩さないようにするため急激な変化を起こすことが難しいこともあり、変化を感じることに時間がかかる場合もあります。

 

本人に直接接触して対応しもらう場合、意図する、しないに関わらず刺激が与えられてしまいます。思春期の子どもですので思想、考え方に大きな影響を及ぼすことが考えられますので慎重に導入を検討する必要があります。

 

とりあえず第三者の介入をしてほしくて家庭教師、カウンセラーを家に入れて、そのときその団体と家族の進めたい方向が全然違ったと気づきましたというお話を聴くこともよくあります。

 

計画書を事前に作らず体当たりタイプの方で、今後どうなるのか全く分からず不安で慌てて中止した、家に来てくれていた学生さんは感じが良かったが、親が悪いと突然責められるようになったので怖くなり次回からお断りした、など導入前に団体をよく調べずに見切り発車パターンがあります。

 

不安定な時期の子どもに接触させるのですから、両親ともに対応に入る方を信じられる状況で必ずスタートしましょう。

 

 

まとめ

「待つ」か「押す」かの選択は、どちらかが正解でどちらが不正解ではありません。

 

専門家の場合は自分の専門分野での解決法を説明します。同じ経験をした親は、自分の選択しなかった方法のメリットは知りませんので、自分の進んだ方向のメリットを説明します。

親の性格、子どもの性格、シチュエーションも異なるため、どの選択が必ず当てはまる万能の正解選択肢は存在しません。

 

まず両親がそれぞれ、どの選択肢が気持ちの中で「すとんと落ちる」感じ、「これだ」と感じるのかを探しましょう。母としてはこの方向性が良い、父としてはこの方向性が良いと出し合うことから始めましょう。

 

どの選択をしても夫婦の協力なしによい成果を上げることはできません。逆にどの選択をしても、夫婦が後悔をせずに一緒に進めるならその選択肢を正解にできるはずです。

(文章:FHE代表 藤本琢)